電子ビーム加工
電子ビーム加工(溶接)について
真空中で高温に加熱されたフィラメントより発した電子を数10KVの高電圧で光速近くまで加速させ、さらに電磁レンズを用いて極めて細く集束させます。
これを材料の微小な面積に衝突させることにより発生する超高熱を利用し、材料の溶接・穴あけ・溶解などを行う加工を電子ビーム加工といいます。
電子ビーム加工は、航空宇宙産業・原子力発電といった特殊な分野から、自動車・各種機械産業・電気電子産業に及ぶ広い分野で活用されています。
当社では30年にわたり、電子ビーム溶接と電子ビーム微細加工の2つの分野でお客様のご要望にお応えしております。
電子ビーム加工(溶接)の特長
真空中の加工なので、空気その他のガスによる汚染がなく、かつエネルギーの密度が大きいので、高融点金属、活性金属の加工に最適です。
通常の溶接は製品全体に熱が伝わり、歪やねじれといった精度を保つことが困難です。また、熱が分散するため、深い溶け込み溶接は困難です。
一方、電子ビーム加工は集束した電子ビームでポイント的に溶接・接合を行うので、製品の歪、ねじれを最小限に抑えつつ、深く溶接を行うことが可能です。
電子ビーム溶接技術
- 母材同士の溶接(とも付け)で溶接棒は使いません。
- 高速溶接が可能なため、熱影響、歪み量 の少ない精度の高い溶接ができます。
- 幅の狭い深い溶け込み溶接が可能です。
- 真空封入溶接(1×10-2Pa程度)ができます。
- 異種金属の溶接(銅-ステンレス鋼など)ができます。
電子ビーム微細加工技術
- 電子ビームによる穴あけ加工(φ10〜50μm)が可能です。
- 従来の方法では困難な薄板や微細・複雑形状の部品に対する溶接・穴あけが可能です。
電子ビーム加工の応用例
当社では、最大ワークサイズ:L1500×W1500×H1500mm の大型ビーム溶接機を保有。
小物から大物まで対応しており、組み合わせ歯車、シャフト類、各種ベローズ、ダイヤフラムの溶接、マイクロ溶接、微細穴・溝切り加工などの応用例があります。
- 半導体関係: クーリングプレート、チャンバ、電極部品
- 自動車関係: 各種ギヤ、エンジン部品、ターボ部品
- 精密機器関係: 圧力センサ、ベローズ、ダイアフラム
- 電子・電気関係: 超電導線用ビレット、電極板
- 真空機器関係: ターボ分子ポンプ部品、真空チャンバ
電子ビーム溶接継手のいろいろ
直線突合せ継ぎ手 |
直線重ね継ぎ手 |
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回転突合せ継ぎ手 |
回転重ね継ぎ手 |
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