電子ビーム溶接・微細加工
電子ビーム溶接
真空中にて高温に加熱したフィラメントから放出される熱電子を、高電圧で加速させ、さらに電磁レンズにより、細く収束させます。これをワークに照射することで、高エネルギー密度の熱源として溶接や微細加工を行うことができます。
電子ビーム溶接は、自動車や半導体、機械・電子産業を始めとした分野から、船舶、航空宇宙産業まで幅広く利用される技術です。当社では、50年に渡り、電子ビーム溶接、電子ビーム微細加工の二つの分野で、お客様のニーズに答えてまいりました。
電子ビーム溶接の特長
真空中での溶接となるため、大気やシールドガスの影響を受けず、かつ高エネルギー密度の加熱が可能なため、高融点材料や、酸化が懸念される高活性金属の加工に最適です。また通常のアーク溶接などと比較し、局所的な入熱となるため、細く深い溶け込みが得られ、ねじれや歪を最小限に抑えることが可能です。電子ビームは電磁気的な制御により、高速な制動・偏向が可能なため、高精度な加工を再現性良く行うことができる接合方法です。
電子ビーム溶接技術
- 一部の合金を除き溶加棒を使用せずに、母材同士の溶接(とも付け)が可能です。
- 電子ビーム特有の幅の狭い深溶け込み溶接が可能です。
- 高速かつスポット径の小さい入熱となるため、熱影響、歪量の少ない高精度な溶接ができます。
- 容器内部を真空にする真空封止溶接が可能です。
- 高融点財や活性金属など(W、Ni、Ta、Ti等)の溶接が可能です。
- 異種金属の接合(Cu + SUS)などの溶接が可能です。
電子ビーム溶接の加工例
当社では、最大ワークサイズ L 3100mm × W 2100mm × H2450mm の大型ビーム溶接機を保有しています。小物から大物まで対応しており、組み合わせ歯車、シャフト類、各種ベローズ、ダイアフラムの溶接、マイクロ溶接、微細穴・溝切り加工などの応用例があります。
半導体関係 | 冷却板、真空チャンバ、電極部品 |
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自動車関係 | 各種ギア、エンジン部品、ターボ部品 |
精密機器関係 | 各種センサ、ベローズ |
電子・電気関係 | 超伝導線用ビレット、電極板 |
真空機器関係 | ターボ分子ポンプ部品、真空チャンバ、加速器関係部品 |
電子ビーム微細加工
1)電子ビームによる穴あけ加工(φ10μm ~ 200μm)が可能です。
2)大気で行う溶接・穴開けに対し真空中で溶接・穴開けするため、汚染が少ない加工が可能です。
3)レーザー溶接法などに引けを取らない薄板や微細・複雑形状部品の溶接・加工が可能です。